お役立ち情報コロナで変化した飲食店の出店・業態事情
2021年07月09日
1.コロナで変化した飲食店の出店事情
新型コロナウイルスの影響によって、飲食企業は様々な戦略の見直しを迫られています。
例えば、「出店戦略」においても、コロナ前であれば「繁華街の駅近出店」がセオリーでしたが、テレワーク等によって人の流れが減ったことで集客に苦戦する上、家賃等のランニングコストがかさむことで厳しい経営を強いられている飲食店も多いのではないでしょうか。
こうした状況下で注目されているのは、「小規模店舗」且つ「住宅・郊外エリアへの出店」です。
小規模店舗の需要が増加
㈱シンクロ・フードが運営する「飲食店.com」での「店舗物件探し」に関する調査によると、2020年4月~7月頃は賃料0~30万円の比較的小規模な物件の出店登録比率が減少しているのに対し、賃料30~50万円の中規模店舗の登録比率が増加しています。
また、物件の「坪数」別の推移で見てみると、0~20坪の小規模物件における登録比率は減少していますが、20~50坪といった中規模物件の登録比率が増加しています。
これらは、中規模店舗の家賃等のランニングコストがかさんだことで、物件の売却を考える飲食店が多い事が原因であると推察できます。
出典:飲食店.com「店舗物件探しに対する問い合わせ数(2020年)」
立地は「住宅・郊外エリアへの出店が増加」
同社が実施した、都内における物件問い合わせ数に関する調査を見てみると、赤坂や新橋、浅草や六本木などの「オフィスエリア」「商業エリア」に関する問い合わせ件数は減少しているのに対し、自由が丘や三軒茶屋、国分寺などの「住宅地エリア」「郊外エリア」の問い合わせ件数が増加しています。
これは、コロナに伴う外出自粛によって、テレワークの導入や観光・ショッピングの需要が減ったことで、オフィス・商業エリアの物件需要が減少したのに対し、住宅地・郊外エリアは、外出自粛をしている人々やテレワーカーたちからの需要も高く、またデリバリーや通販を展開する企業など、立地の利便性を重視しない企業からの物件需要が増加している事が原因であると推察できます。
出典:飲食店.com「東京都内駅別問い合わせ件数(2019年度・2020年度比較)」
2.コロナで変化した飲食店の業態事業
また、コロナの影響によって、飲食店の業態にも変化が生じています。
コロナの影響を受けにくい業態が人気に
同社が実施した、業態別の物件問い合わせ数に関する調査を見てみると、これまで人気の高かったラーメンを始め、和食、中華、イタリア料理などほとんどの業態において問い合わせ件数が減少しているのに対し、焼肉業態やお弁当、カフェ業態からの問い合わせ数が増加しています。
これは、焼肉店は換気設備が整っているほか、客席同士の幅にも比較的ゆとりを持てることから、コロナ禍の影響を受けにくいとされおり、また、お弁当やカフェ業態は、テイクアウトやデリバリー需要の増加、テレワーカーの増加に伴う、作業スペース需要の増加が原因であると推察できます。
出典:飲食店.com「業態別の問い合わせ件数(2019年度・2020年度比較)」
コロナ禍において、飲食企業には、より一層の臨機応変な経営が求められており、その中で、小回りの利く小規模店舗や、時代の流れに合わせた業態選びを行う企業が増加しています。
今後は、自社の希望条件だけでなく、他社や市場の動向等を踏まえた戦略を描く必要があるのではないでしょうか。