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飲食店の評価ノウハウ社員のモチベーションを高める報奨金制度ノウハウ

社員のモチベーションを高める報奨金制度ノウハウ

店舗内のコミュニケーション活性化や生産性向上を実現する報奨金制度の設計方法や運用上のポイントを紹介

  • 報奨金制度の導入を検討しているが、設計方法や運用時のポイントが分からない

  • 報奨金制度を導入することで、社員のモチベーション向上や生産性向上を図りたい

  • 報奨金制度を導入しているが、うまく機能しておらず、見直しを行いたいと考えている

報奨金制度とは、社員のモチベーション向上や組織の業績向上などを目的に、社員の特定の行動や結果に対して表彰や報奨金を与える制度です。

報奨金制度の設計のポイントは、「いかに多くの店舗・社員にスポットライトを当てることができるか」です。
立地の良い店舗や業績の良い店長など、限定的な店舗・社員のみを表彰するような制度ではなく、ミドルパフォーマーにも頑張れば手が届く制度にすることで、社員のモチベーションを向上させ、組織を活性化させるような制度にできるかが重要となります。

本サイトでは、報奨金制度の設計方法や運用上のポイントについて、活用事例も交えながら解説します。

目次CONTENTS

01報奨金制度導入のメリットとは?

報奨金制度を導入することのメリットとは何でしょうか。どのような制度を設計するかにもよりますが、一般的な報奨金制度のメリットとしては以下の3つが挙げられます。

  1. 社員のモチベーションが向上できる
    報奨金制度を通じて、人事評価以外の観点から店舗や社員の成果、企業への貢献度が公平に評価されることで、社員のモチベーション向上に繋げることができます。
    また、表彰などの非金銭的な報酬であっても、社員の取り組みや成果が表彰されることで社員の承認欲求が満たされるため、社員のモチベーション向上が期待できます。
  2. 店舗内のコミュニケーションが活性化する
    例えば、「月間の店舗売上目標達成賞」などを設けることで、店舗の活性化やチームワーク、生産性の向上などが期待できます。また、これらの取り組みにより、店舗業績の向上も期待できます。
  3. 人材定着率が向上する
    以上の効果によって社員の働きがいが向上するため、人材の定着率の向上も期待できます。
    また、人材が定着することで採用コスト、教育コストなどを削減でき、結果として企業全体の経費削減にも繋がります。

但し、報奨金制度は正しく運用できなければ上記のメリットは享受できず、寧ろ社員のモチベーション低下や店舗間での関係性の悪化に繋がる可能性があります。そこで、次章では報奨金制度をより効果的に活用するための制度設計方法について解説します。

02報奨金制度の設計・運用におけるポイント

報奨金制度を正しく設計・運用するためのポイントは、以下の通りです。

社員のニーズを把握する

社員のモチベーション向上や店舗のコミュニケーション活性化につながる報奨金制度とするために、「そもそも社員は、どのような取り組みや成果を評価してほしいのか」を把握します。

現場のリーダークラスである店長を中心にヒアリングを実施し、「人事評価での評価項目以外で、どのようなことを評価してほしいのか」「どのような報奨金制度であれば社員のモチベーション向上につながるのか」などについて聞き、現場社員にとって魅力と感じる報奨金制度を設計することで、社員の満足度を高める制度とすることが重要です。

導入目的を明確化する

報奨金制度の設計において、最も重要なのが「何のために報奨金制度を導入するのか」といった導入目的を明確にすることです。

社員へのヒアリング内容をもとに制度導入の目的を設定することで、「誰を対象に」「どのような基準で」評価を行うかを明確化し、社員が何を頑張れば評価されるのかが分かりやすい制度とすることが重要です。

また、導入目的を明確化することで、制度導入による効果性を検証しやすくなります。

支給対象者や選定基準等を明確に設定する

報奨金制度の運用において重要となるのが、「誰を対象とした制度なのか」「何が、どのように評価されるのか」といった支給対象の選定と選定基準の明確化です。

対象者や選定基準などが曖昧であると、不公平感のある制度となり、制度に対する不信感が高くなる可能性があります。

報奨金制度を設計する際に明確化すべき観点として、具体的には以下が挙げられます。

・対象者(個人、店舗内の全社員など)
・評価内容(売上、粗利、勤続年数など)
・選定基準(月間目標達成率、勤続5年以上など)
・支給内容(月間目標達成率が110%:対象店舗の全社員に2万円、勤続5年:5万円など)
・支給月(毎月、半年に一回、1年に1回など)

社員に対して周知徹底する

報奨金制度は社員に周知されなければ意味がありません。そのため制度導入後は、制度が形骸化しないように、社員に対して制度導入の背景や目的、制度のルールや支給内容等を説明する場を
設け、制度の存在を周知徹底することが重要です。

また、実際に表彰された店舗や社員を共有することで表彰された社員のモチベーションを向上させ、また他の社員も「自分も表彰されたい!」と思わせる働きかけをすることが重要です。

報奨金制度の効果性や改善点などについてチェックする

報奨金制度は導入して終わりではなく、制度の効果性や改善などを定期的にチェックし続けることも重要となります。

店長会議などの場も有効活用して現場の意見を収集し、導入目的に沿った運用ができているかを確認し、何か不具合があれば改善し続けることが制度への納得感や社員のモチベーション向上につながります。

一方で、頻繁に制度のルール変更を行うことは、社員の混乱を招く恐れがあるため、慎重に進める必要があるでしょう。

なお、報奨金制度見直しの観点としては、以下が挙げられます。

・社員のモチベーション向上に寄与しているか
・会社の業績向上に寄与しているか
・制度に対して不公平感を感じている社員はいないか
・社員間でモチベーションに差が開いていないか

03報奨金制度の運用上の留意点

報奨金制度を効果的に機能させるために、制度の運用力を高める必要があります。
この章では、報奨金制度の運用における留意点について解説します。

特定の社員、店舗だけが表彰され続けるような支給内容だけを設けない

報奨金制度は、一般的な人事評価基準とは異なる観点で人材を評価することで、社員一人ひとりにスポットライトが当たる機会を増やし、社員の成長を促進しながら企業の業績向上や活性化を図ることを目的に導入する制度です。

そのため、売上や粗利などの業績面だけを評価する、また店長のみを支給対象としてしまうと、一部の優秀な社員や業績が優良な店舗だけが表彰され続け、結果的に制度対象外となった社員のモチベーションやチームワークが低下する可能性があります。

そのため、勤続表彰など企業への貢献度に対する評価も行うことで、全社員または店舗に対して平等なチャンスが与えられる制度とすることが重要です。

支給基準は「少し背伸びしたら手が届く」レベルに設定する

いくら社員にとって魅力的な報奨を設定していても、その支給基準のレベルが高すぎると、「この支給基準では絶対に達成できない」と思われ、結果的に社員のモチベーション低下を招いて
しまいます。

一方で、支給基準のレベルが低すぎても問題です。人件費コストが膨らむ上に、報奨金制度自体が「特に意識しなくても達成できるもの」として機能しなくなるためです。

そのため、報奨金制度の支給基準は「少し背伸びしたら手が届く」レベルのストレッチな基準を設定することが、適切な制度運用において重要です。

04飲食企業における報奨金制度の活用事例

この章では、報奨金制度をうまく活用し、飲食企業の事例を紹介します。

外食チェーン店を経営するA社が抱えていた問題点

・売上予算達成に関する報奨金を獲得できる店舗が固定化してしまい、獲得する店舗は「当たり前」、獲得できない店舗は「あきらめ」になっていた。
・売上・利益は、報奨金・賞与で二重に評価され、たまたま就任した店舗の違いにより年収ベースで大きな偏りが出ていた。

⇒結果、年間3,000万もの人件費が社員のモチベーション向上につながっていなかった!

支給名目 評価方法 評価項目 年間コスト
報奨金
(年4回)
売上実績 売上・粗利
(予算比)
500万円
個人の賞与
(年2回)
人事評価 実績(70点)、職務プロセス(30点)の合計100点 2,500万円

報奨金制度をブラッシュアップして問題を解決!

・社員に高評価であった売上・粗利予算の達成に関する報奨金は維持しつつも、年間コストを下げた。一方で、新たに業績や職務プロセス以外の支給基準を設定し、優秀店舗に対する表彰制度を新設した。

・結果的に、総額人件費を維持したまま社員のモチベーション向上や、店舗内のコミュニケーション活性化を実現でき、また年3回のキャンペーン企画を立案する必要があるため、本部の企画部門に
ついても活性化するという副産物を得ることができた。

支給名目 評価方法 評価項目 年間コスト
報奨金
(年3回)
売上実績 売上・粗利
(予算比)
400万円
店舗で行っているキャンペーン内容 「重点販売メニュー」拡販
「会員カード」新規入会
「店舗利益」改善 等
300万円
個人の賞与
(年2回)
人事評価 個人役割・能力のみ
(売上・粗利は含めない)
2,300万円

まとめ

  • 報奨金制度は、社員の成長を促進しながら企業の業績向上や活性化を図ることを目的に導入する
  • 報奨金制度の運用力を高めるためには、現場の意見も収集しながら社員にとってモチベーション向上につながる支給内容、支給基準とすることが重要
  • また、「誰を対象に」「どのような選定基準で」評価を行うかなど、制度の運用ルールを明確化した上で、社員に周知徹底することが運用面のポイントとなる

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