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飲食店の教育ノウハウ理論原価を活用した「原価コントロール」ノウハウ

理論原価を活用した「原価コントロール」ノウハウ

理論原価・ロス率の出し方と、ケースごとの改善策を紹介

飲食業でコストの代表格である原価。できる限り適正な原価でお客様の商品を提供することが理想です。

ただ実態はというと、

  • 店舗によって、原価率がバラバラ

  • 適正な原価が把握できていない

  • 材料の値上がり、値下がりが理論原価に反映されていない

  • 原価増の要因が解らず、代替商材の検討ができない

ここでは、これらの悩みに対して、どのような対策を打てばよいか、理論原価・ロス率の出し方にフォーカスを当て、ケースごとの改善策をご紹介します。

目次CONTENTS

01理論原価とは何か?

原価管理に理論原価の算出が重要な理由

理論原価とは、1gのずれもなくレシピ通りに調理が行われたときの食材費(原価)の合計金額です。
理論原価を販売価格で割った値を理論原価率と言います。理論原価(率)は、原価をコントロールするにあたっての基準として活用します。

理論原価と実際かかった原価との差異がロスであり、なぜ原価がコントロールできていなか、その原因を探るためには重要な指標と言えます。

理論原価とは

理論原価の求め方

理論原価は、レシピから使用量と単価を抽出し、以下のようにエクセルなどでまとめれば簡単に作成できます。
原材料の価格変動がある場合は、見直す必要があります。

理論原価の求め方

またどの程度ロスが発生しているかを把握するためには、以下のようにまとめる必要があります。
下の例は、商品の出数毎に月間でまとめた表です。

この場合、月間ロスが133,600円出ており、理論原価率28.7%と実際原価率30.6%には、1.9%の乖離が発生している状況です。

理論原価の求め方2

02原価が上振れするケース(要因)ごとの改善策

原価をきちんと管理していたとしても、原価が上振れする要因が多いことから、多くの場合理論原価を上回ります。

どのような要因で原価が上振れするのかを把握し、適切な対策を打つことで、できる限り理論原価に近づけるようにしていきましょう。

原価が上振れする主な要因一覧

1 廃棄が多い
2 歩留まりに改善の余地がある
3 オーバーポーション
4 予約キャンセル
5 スタッフによる盗難

廃棄が多い

廃棄が発生は、

・仕入過多、仕込み過多
・先入先出が徹底できていない

など、食材の管理ができていないことにより発生します。

対策としては、

・出数の読みを過信しない(勘に頼りすぎない)。
・「心配だから少し多めに仕入れる」をやめる
・食材の廃棄状況をノートなどに記録し、どの程度のロスが発生しているかを把握する。
・冷蔵庫内や食材管理庫を整理整頓する。置き場所をシールで明記する。
・先入先出が行われているか定期的にチェックする。

などが挙げられます。

歩留まりに改善の余地がある

仕入れた食材は、商品品質に影響がない限り、余すことなく使いたいところです。

ところが調理担当者によって、

・使える部分、廃棄する部分の認識に違いがある
・技術力に差があり、廃棄部分が増える

など、商品加工時にも歩留まりに差が発生します。

対策としては、

・調理担当者を教育する
・使える部分、廃棄する部分の認識を揃える

また場合によっては、仕入れ商材の組み合わせによる歩留まり改善のために、レシピや商品構成を見直すことも検討しましょう。

オーバーポーション

オーバーポーションは、

・スタッフの「慣れによる過信」から、計量を行わない
・「1掴み」「1盛り」のように、人によってばらつきが出るレシピ指導を行っている

など、慣れやあいまいさから発生します。

対策としては、

・レシピ通りの量で調理できているか、定期的にチェックを行う。
・計量する余裕がない場合は、必ずスタッフ自身の計量感覚が正しいのか、確認する場を作る
・「1掴み」「1盛り」という表現をなくし、gなどの単位に置き換える。

慣れているスタッフほど、定期的なチェック、確認を行いましょう。

予約キャンセル

直前キャンセルや無断キャンセルが1回でも発生すると、ロスが大きく膨れ上がります。

対策としては、

・予約は前日に電話確認する
・キャンセル対応ルールを定め、予約連絡時にお客様に必ずお伝えする。
 ⇒キャンセルの場合は、前日までに連絡をもらう。
 ⇒当日キャンセルの場合は、お客様に料金を全額ご負担いただく。など
・予約事前決済サービスやデポジット機能があるサービスを利用する。

スタッフによる盗難

悲しいことに、スタッフが食材を持って帰ることは起こりえます。
これまで紹介した原価上振れ要因が該当せず、なぜかこの店だけ理論原価との乖離が大きいといった場合は、「スタッフによる盗難」が発生している場合があります。
特に大きなこのようなことを起こすスタッフには、店長による指導にも限界があります。

対策としては、

・カメラを設置する(ダミーカメラも可)
・食材管理を徹底する

など、抑止力を持って防ぎましょう。

03原価をコントロールするには

実際原価のコントロール

実際原価のコントロールとは、実際原価を理論原価に近づけることです。
具体的には、

・実際原価と理論原価の差異(ロス)を毎月記録する
・先に紹介した原価上振れ要因を見つける
・必要な対策を打つ

を順番にやっていきましょう。

「対策を打った結果、ロス率が○%改善した」など、きちんと記録・検証を行い、PDCAを回していくことが重要です。

理論原価をコントロールする

理論原価のコントロールとは、理論原価に対する一定のルールや目標を作り、そのルール・目標内に収めていくことです。

例えば、

・理論原価率は25%に収める
・郊外、ビジネス立地など、店舗の特性ごとに目標原価率を設定する
・仕入単価の変動は四半期ごとにチェックする
・原価率を考慮して、お客様にお勧めするメニューを構成する

のようなルール・目標です。

理論原価率は仕入れ食材の価格上昇などで、放置すれば上がっていくものであると認識し、理論原価率が上がっている商品については、「仕入れ先や仕入れ商材を見直す」「ポーション量を調整する」「歩留まり改善を施す」「値上げする」などの対策を講じていきましょう。

また月間の理論原価率が高い店舗は、実際原価がそれを下回ることはほぼありません(過少提供しなければ)ので、理屈の上でもコスト高となり、注意が必要です。

・お客様にお勧めする商品や、メニューの見せ方を変える
・商品構成を見直す

ことで改善する可能性がありますので、こちらも毎月記録して、PDCAを回していきましょう。

まとめ

今回、原価のコントロール方法についてお伝えしました。

原価コントロールのポイントは以下の通りです。

  1. 商品ごとの理論原価を把握し、定期的に見直す
  2. 店舗ごとの理論原価と実際原価の乖離を明確すること
  3. 原価乖離の要因を特定すること
  4. 店舗の理論原価をコントロールすること

です。

特に④については、抜けがちです。

全店同じメニュー構成であったとしても、店舗立地や顧客層の違いにより、店舗ごとの理論原価は異なります。
実際原価率が高い店舗は、同様に理論原価率も高い可能性があります。この場合、まずは理論原価からの改善検討がベターです。

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