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飲食店の教育ノウハウ店長に求められるティーチングとコーチングとは

店長に求められるティーチングとコーチングとは

これだけ出来ればスタッフが成長する!店長がマスターすべき「ティーチング&コーチング」スキルの紹介

店長は、店舗の中での人材育成を一旦に担うポジションです。一口にメンバーといっても、正社員のメンバーもいれば、パート・アルバイトもいます。
多くの社員をトレーニングするために必要なスキルがティーチングとコーチングです。

  • 店舗メンバーのスキルが上がらない

  • 早期離職が目立つ店舗がある

  • なかなか次の後任店長が育たない

  • 店長がプレイヤー業務から離れようとしない

今回は、メンバーが辞めない、育つティーチングとコーチングについてお伝えします。

目次CONTENTS

01ティーチングとコーチングの使い分けとは

人材育成においてよく聞く言葉として、ティーチングとコーチングがあります。

ティーチングとは、つまり教えることです。イメージとしては、「一方向で、指導者が教える」。

コーチングとは、問いかけを通して、相手に気づきを与えること。イメージとしては、「双方向でコミュニケーションをとりながら、教えられる人が気づくことです。

では、ティーチングやコーチングはどのタイミングで使い分ければよいのでしょうか。

一般的には、入社してすぐの段階では、ティーチングで育成し、その後ある程度仕事ができるようになれば、コーチングで自ら考えさせると言われています。
多くの企業では、入社初期段階でのティーチングはマスターチェックリストなどを活用しながらティーチングは行いますが、その後の育成はさっぱりという状態です。

ティーチングとコーチングの技術を習得することで、メンバーの離職を防ぐことができ、店舗全体のサービスレベルも向上します。

02店長にとってのティーチングとコーチングの重要さとは

店長にとってティーチングとコーチングを習得することは、自らの役割と照らし合わせても重要な要素です。
では、店長の役割とは何でしょうか。いろいろと表現はありますが、最終目的は「適正な利益の確保」です。では、適正な利益を確保するにはどうすればよいのでしょうか。

  1. 最終目的は、適正利益の確保です。
    利益は売上なくして生まれません。無理に売り上げを上げ続けることはいつか無理が来ます。
    安定して適正な利益ができる土壌を作る必要があります。
  2. では、売上をあげるためには何が必要でしょうか。
    当然ながら、お客様に満足していただくことです。大切なのは、お客様に不満を感じさせず、当たり前のことを当たり前に店舗で実現していること
  3. では、お客様に不満を与えず満足していただくためにはどうすればよいのでしょうか。
    実際に現場で接客するのは、経験豊かな店長よりも、経験の浅い社員やスタッフの場合が多いでしょう。
    ということは、現場スタッフのトレーニングにが、お客様に満足していただくために重要です。
  4. では、人を教育するためには、どうすればよいのでしょうか。
    人を教育するには、そもそもの人員が充足していないとできません。当然ながら、スタッフを適正な人数揃えることが必要です。入っては辞め、入っては辞め、の店舗だといつまで経っても人は育ちません。

つまり、ティーチングとコーチングは上記の②~④に影響を与えるとても重要な仕事になります。

03離職させないティーチングの在り方

入社してすぐのメンバーが辞めてしまうことは、これまでの採用コスト、教育コストが無駄になります。
そのため、入社初期段階での教育体制を整えることが重要です。

  1. 教育担当者をきちんとつける
    ・シフトごとに教育する人が変わるのは、指導をされる側からすると不安になります。
    ・可能であれば、教育担当者は固定するようにしましょう。教育担当者以外の人が教えてはいけない、というわけではなく、その人の教育責任をお願いするということです。
  2. 店舗ミーティングの機会を設け、参加させる
    ・入社初期段階であっても、お客様からみれば立派な店舗のスタッフです。
    ・店舗ミーティングを行い、今店舗では何が課題なのか、どういったことに取り組んでいるのかを認識させることで、店舗への帰属意識を高める効果もあります。
  3. 個人面談の実施
    ・マスターチェックリストなどを活用しながら、個人面談を10分でも良いので実施するようにしてください。本人の悩み、困っていることを拾い上げてください。
    ・面談では、本人に自信を与えるようなフィードバック(できている部分をしっかりと伝える)を行ってください。

04やる気がないは、教える気がない

上記のように、教育体制を整えたとしても、入ってくるメンバーの全員が高いモチベーションを持って入社してくるわけではありません。そんな時、「最近の人はやる気がない」と考えてしまうかもしれません。

「前も言ったじゃないか。何度もいっただろう。」「やる気ある?」
こんな言葉で、相手を叱責した経験もあるかもしれませんが、「やる気がない」という考えは 教育をする姿勢としてNGだと覚えてください。

相手を「やる気がない」と捉えるのは、自分自身が「教える気が無い」からです。やる気がないのではなく、能力的にできないのだと考えて、具体的にできる方法を指導するのが教育者の役割です。
そのとき、人材育成に役立つ学習理論が、スモールステップの原則です。

05スモールステップの原則

スモールステップの原則とは、人材育成に重要な理論の一つで、学習内容を小さな単位に分割して、小刻みに教える方法です。小刻みに教えたほうが教育効果が高いと言われています。

部下育成で、よく見る失敗は部下に自分のハードル基準を当てはめてしまうことです。
上司になる方、例えば店長というのは、部下に比べ、能力もやる気も高い方でしょう。その自分の基準を部下にそのまま当てはめてしまう方が多いのです。
この傾向は、実はいわゆる「デキる上司」であればあるほど高くなります。

自分自信が自然にできてしまうので、「部下がなぜできないのかわからない」。そのため、「お前はやる気がない」という意識の問題にフォーカスしてしまいます。

・課題を細かく分解する。
スモールステップの原則を当てはめると、まずは課題を相手に合わせて細かく分解することです。
「そこまでやるの?」というぐらい、細かく段階を分解してみてください。目安は、いつもの3倍です。

・相手に合った具体的行動を提示する。
できないところ、うまくできないところは、相手によって異なります。そのときの相手にあった、ほどよいスモールステップを考えましょう。

・一度に一つのステップだけに集中する。
教えすぎは、相手に消化不良を起こさせてしまう場合も多いです。
急がば回れという言葉があるように、丁寧に教えるほうが長期的に見て早いということもあります。
スモールステップで、指導する場合は、一度に指摘するポイントは、多くて3つ、できれば一つに絞ってください。

06まずはミッションを浸透させる

店舗の理想の状態というのは、「このミッションを体現しよう」とすべてのスタッフが想い、その想いをもとに行動している状態です。会社のミッションが、すべてのスタッフに腹落ちしている状態です。

例えば、スターバックスだと、「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というミッションを掲げています。スターバックスでは、このミッションを腹落ちさせるために多くの時間をかけています。それに対して、多くのコーヒーショップでは、ミッションの前にとにかく「作業」を教えています。

ディズニーランドの場合は、「すべてのゲスト(お客様)にハピネスを提供する」というミッションを掲げています。
ミッションがはっきりしないと、社員個々人が勝手に行動し、仕事へのこだわりを発揮できないなどの問題が発生します。
ディズニーランドでミッションや行動指針がアルバイトまで徹底的に浸透しているのは、全員が繰り返しその重要性について確認しあう風土があるからです。

07コーチングの手法

コーチングを行う際に重要なことは、小手先のテクニックを覚えることではなく、相手の話を真摯に聴こうとする心です。
そのうえで、下記のような技術を知っておくと良いでしょう。

質問のレパートリーを持つ

コーチングは、質問を中心に行います。質問のレパートリーを持つことはコーチングを実施するうえで重要です。

・オープンクエスチョン(はい/いいえ で答えられない質問)
・クローズドクエスチョン(はい/いいえ で答えられる質問)
・チャンクダウンクエスチョン(相手の言葉の具体化を促す)

Iメッセージを心掛ける

Iメッセージ:相手の行為が自分(私)にとって、どのような影響を与えたかを伝える
例)君が目標を達成して、上司としてとても嬉しいよ
君はいつも仕事が早いので、私は本当に助かっているよ

Youメッセージ:相手に対する評価や推測
例)目標を達成してすごいなあ
いつも仕事が早いな

コーチングは、質問中心で行うため、自分で答えを考える癖付けができるようになります。これが、受け身のティーチングより効果が高い理由です。

08ティーチングとコーチングを店舗で浸透させるために

ティーチングとコーチングを店舗に浸透させるには、生半可な労力では浸透できません。
1回、2回程度研修を行うだけでは難しいでしょう。

本部スタッフ、もしくはエリアマネージャーが定期的に状況を確認し、適切に機能しているかをチェックする体制づくりが必要です。
時間はかかるかもしれませんが、取り組んだ暁には、定着率も良く、人が育つ店舗になりますので、ぜひ取り組んでみてください。

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