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1. 人事評価・賃金制度の現状と課題

人事評価・賃金制度の現状と課題

 採用難の今、飲食店にとっては採用力を強化するだけでなく、スタッフを動機づけし、定着化を強化する面も当然のことながら見過ごせません。その一つに、働きぶりが適正に賃金に反映される「人事評価・賃金制度」の整備が求められます。
飲食店の実態としては、評価制度のない会社が大半ですが、評価制度のある会社でも、多くの会社において適切に運用できていません。
 例えば、店長の評価が店舗によってバラつきがあったり、評価と賃金が連動していないこと、さらには評価が育成や動機づけどころかモチベーションを下げるものになっています。

2. アルバイトの評価、賃金のあり方

①アルバイトの評価

 パートアルバイトのランクアップ・昇給は、先ほど解説したように、ランクごとに求められる仕事が出来たかどうかによって実施すべきであり、各ランクに求められるマスターチェックリストをクリアしたのか、していないのか、はっきりと○か×で判断した方がわかりやすいでしょう。そういう意味では5段階評価はアルバイト評価制度には馴染まず、高い評価スキルも求められ、運用が難しいといえます。

 もっとも、仕事(マスターチェック項目)が出来たとしても、勤務姿勢(無断欠勤・遅刻や身だしなみ等)に問題があっては、ランクアップ・昇給すべきではないので、それらを「評価の前提項目」とし、その時点で評価をしないということも有効でしょう。

 また店長が、どうしても評価項目外で特別に評価したい部分(例えば、無理して繁忙期に時間的貢献してくれたことや、人の嫌がる仕事を率先したこと等)があるので、店長の裁量による評価・昇給(一時金)部分を持たせることで、人事評価の納得性を高めることができます(店長特別評価欄の設定)。

 このように、ランク別のマスターチェックリストをつくることはOJTの教育面だけでなく、評価の上でも十分に活用し、賃金(時給)とも連動することができます。

②アルバイトの賃金

 先の人事評価結果がどう時給に繋がっているのか「わかりやすさ」が重要となり、時給の構成要素を明確にする必要があります。また、アルバイトで上限いくらまで昇給できるのかも明確にします(例:アルバイト店長で時給1500円等)。

 店舗ごとのスタート給とは別に、仕事のレベルアップにより昇給する部分を、例えば「ランク給」とし、これまで解説してきたランク別のマスターチェックリストと連動させるのであれば、ランクごとに時給を設定すればよいでしょう(例:Cクルーになったらランク給50円、Bクルーでランク給100円、Aクルーで・・・)。

 その他、人数が手薄なシフト時間帯に進んで勤務してくれた者や、リーダー的な役割を担う者、あるいは接客・調理などの技能コンテストでの優秀者、サンクスカードに貢献した者への賃金については、時給として細かく設定して、延々と払い続けるよりは、条件に該当した期間のみ一時金として支給することも、インパクトがあり有効です。

 採用難の今、採用競争力をつけるためには、パートアルバイトの賞与制度や報奨金制度も検討したいところです。多くのケースは、「時間的貢献」に対して賞与を支給しています。例えばある会社では、年2回、算定期間中(6カ月で)300時間以上勤務した者を対象に「勤務時間数×単価」で支給額を決定しています(例:300時間×50円=15,000円)。

 報奨金も、店舗の月次の売上目標を達成する場合等に活用すると有効です。売上目標を達成した店舗のスタッフ全員に一律して、報奨金(大入り袋)を出すことでチームとしての達成意識を共有することができます。この際、達成率に対して報奨金の原資をあらかじめ設定し、単純にスタッフ人数で配分すると運用がしやすいでしょう(例:達成率103%の場合、報奨金原資を4万円。スタッフ20名いるので1名あたり2000円)。中には、お金ではなく、例えば米3キロのように現物で支給する会社もあり、好評でした。

 注意点としては、主婦や学生の時給が高くなればなるほど、賞与や報奨金を出せば出すほど、いわゆる「130万円の壁」が迫り、勤務可能時間が少なくなる可能性があります。法的にどう改正されるのか注視したい点ですが、この悩みは人手が不足し、特定のスタッフに勤務時間を負担させている飲食店に多く、スタッフ人員が充足している店舗では時給や賞与を出しても、シフト上問題になることは少ないでしょう。

3. 正社員の評価・賃金のあり方

①飲食店の人事制度は、店長職を魅力的に

 飲食店における正社員の人事評価制度のポイントとして「店長職が魅力的なもの」にする必要があります。若手にとっては、店長職に憧れというよりも、「店長になると損」というように不満の方が多いように思えます。例えば、店長になって業績面や労務管理といった責任が増えても、給料は少ししか変わらず(悪質な場合は管理者扱いにして残業代を支給していない会社もあります)、業績を求められる割には、業績や評価が昇給や賞与にどうつながっているのか不明確といったことも挙げられます(このため店長になるより、今の気楽な立場にとどまっている方がいいと思う若手が多い)。

 また、同じ店長という肩書きでも、いわゆる実力のある店長(大型店、旗艦店の店長、不採算店の立て直しができる店長)と新人店長ではやはり処遇を変えるべきでしょう。また、SVや複数店舗マネージャーをさせるより、店長としてのほうが力を発揮できる者の為に、店長職としてランクアップし、部長より高給取りの店長がいても良いと考えます。またこのシステムはSVや統括マネージャーのポスト不足による昇給の頭打ちの解決にも有効です。

 注意すべき点(よくありがちな事例)は、例えば副店長の方を、店長の期待役割が出来ていないまま、店長に昇格させてしまうことです。これにより、店長になってから、まったく店長の期待役割を全うできず、現場スタッフからの不満やQSCの低下をもたらせてしまいます。昇格のルールとしては、人事考課の結果が優良であるとともに、上位等級(この場合は店長の期待役割)をある程度満たしてはじめて、その副店長を昇格対象者としましょう(※他にも、昇格に際して必要な教育プログラムを受講、合格しておく必要はあるでしょう)。つまり、副店長であるときから、店長の期待役割を意識させておくことがポイントとなります。

飲食店のキャリアステップと年収水準例(10~20店舗規模の例)

「飲食店の等級基準 例」

飲食店の等級基準

「飲食店の正社員階層別教育プログラム 例」

飲食店の正社員階層別教育プログラム

②正社員の評価制度のあり方

 飲食店の人事評価の問題としては、評価項目自体がランク(等級)ごとに求める役割・仕事とミスマッチをおこしていることや、評価項目数が多すぎて、本当に重要視したい項目への意識が薄れていることが挙げられます。また、5段階評価の場合、評価スキルがないと評価点が中心(標準)に集まり、評価になっていないケースも多く見受けられます。さらには、外部環境による影響を受けやすい「業績部分の評価割合」が高すぎて現場がやる気をなくす原因となっている場合や、評価結果に対する不満から上司と部下の間に溝が生まれてしまうこともあります。

 適切な評価項目が設定されていたとしても、評価結果が、昇給や賞与に与えるインパクトが薄ければ、その評価の存在意義も薄れます。

 評価項目についてはあれもこれもと欲張って数多く設定するのではなく、本当に求めたい重要項目だけに絞り、その項目の目的と水準を浸透させる必要があります。また、あまりに業績部分のウェイトが高いのも考えものです。

 また、飲食店においては、店長という管理者になるまでの期間も短いことが多く、年に1回の昇格・給与改定ではスピードが遅すぎると考えます。人事評価は、人材育成の為にあります。つまり、評価をできるだけ多く設けた方が成長スピードも速まることになり、出来れば四半期評価(3ヵ月に1度の評価)にすると、対象期間が短いので評価もしやすく、理に適っていると考えます。

正社員の評価のあり方

 もちろん、先ほどの採用面接とも同じく、評価面談(動機づけ面談)スキルもしっかり習得させる必要があり、そのトレーニングもする必要があります。

③正社員の賃金制度のあり方

◇月給のあり方

 現場の正社員にとっては、せっかく頑張ってS評価をとっても、昇給も賞与もほとんど変わらないのであれば、評価制度を軽視し、モチベーションには繋がらないでしょう。昇給原資は限りがありますが、その中でも優秀者にはメリハリのある魅力的な昇給を用意できるかが制度構築の上では重要です。

 よって、昇給や賞与に評価が連動し、メリハリのある処遇が可能となるような、魅力的でわかりやすいルール(制度)の見える化が、動機づけと定着率アップにつながります。

 月給についても、アルバイトの時給と同じく分解化し、人事評価結果によって増減させる部分(例えば、能力給としてS評価なら+1万円、A評価なら+5000円、B評価なら±0円、C評価なら・・・。実際には、テーブル表を用いてS評価で、+5号俸という形で改定号俸数での対応が多い)の設定や、役職手当に関しても評価によって洗い替えする制度もインパクトがあり、評価への意識づけを強化できます(同じ店長でも、S評価なら店長手当3万円、B評価なら店長手当5000円等)。

役職手当に評価を連動させるパターン

 S〜A評価B〜D評価E〜F評価
S店長(大型店)60,000円50,000円40,000円
店長40,000円30,000円20,000円
店長代理15,000円10,000円5,000円

◇賞与制度のあり方

 賞与制度については、まず原資を算定するルール(業績に連動させる)と、その配分のルール(人事評価をどう活かすか)がポイントです。

 一つの例としては、①基礎額×②平均支給月数×③個人評価係数で賞与算定するパターンがあります。基礎額においては、個人ごとにバラバラの基本給ではなく、等級ごとに基礎額を設定できれば(例:4等級者は、一律30万円)、運用もしやすく、コントロールもしやすいでしょう。

 ②の平均支給月数の設定で、賞与原資を業績に応じてコントロールすることができます。一つの例として、賞与原資については、「人件費(労働分配率)予算-人件費(労働分配率)実績(既払い)」で算出することは、店舗経営においては管理しやすい手法でしょう(例:半期売上6億円の会社であれば、人件費予算33%-実績29%=4%・・・2400万円を賞与原資に。残業代がかさみ、人件費が高くなると賞与原資もその分減少する仕組みにもなる)。このルールは、売上が上がり、生産性を高くすることでその分賞与原資も拡大するということになります。あるいは、もう一つの例として、年度初めに、例えば半期で3,000万円利益達成時には1か月、4,000万円達成時は1.2カ月・・・というように、業績に応じて平均支給月数を公表することも、透明性は高くわかりやすいでしょう。

 業績に応じて、平均支給月数が割り出された後は、個人の評価(例:S評価係数1.5、A評価1.2、B評価1.0、・・・)を乗じていくことで、評価をしっかり賞与にも反映することが可能です。他にも、賞与制度のバリエーションとして、ポイント制によるものもあります。

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