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2022年01月14日

飲食店ができるSDGsへの取り組み内容とメリット

飲食店ができるSDGsへの取り組み内容とメリット

SDGsってただの掛け声?

最近では、SDGs(エスディージーズ)という言葉自体は広く一般的になってきたように感じますが、皆様は取り組まれていますでしょうか?
個人的には、やらないよりもやったほうが良いレベルの物事。耳あたりが良く、体のいい掛け声、くらいの認識でした。実際に飲食店が取り組むメリットはあるのでしょうか。

改めてSDGsとはなにか

“2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。”
出所 外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

具体的な17のゴールは下記の通りです。

目標1(貧困) あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
目標2(飢餓) 飢餓を終わらせ,食料安全保障及び栄養改善を実現し,持続可能な農業を促進する。
目標3(保健) あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し,福祉を促進する。
目標4(教育) すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し,生涯学習の機会を促進する。
目標5(ジェンダー) ジェンダー平等を達成し,すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う。
目標6(水・衛生) すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
目標7(エネルギー) すべての人々の,安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
目標8(経済成長と雇用) 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある 人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
目標9(インフラ,産業化, イノベーション) 強靱(レジリエント)なインフラ構築,包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベー ションの推進を図る。
目標10(不平等) 各国内及び各国間の不平等を是正する。
目標11(持続可能な都市) 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
目標12(持続可能な生産と消費) 持続可能な生産消費形態を確保する。
目標13(気候変動) 気候変動及びその影響を削減するための緊急対策を講じる。
目標14(海洋資源) 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し,持続可能な形で利用する。
目標15(陸上資源) 陸域生態系の保護,回復,持続可能な利用の推進,持続可能な森林の経営,砂漠化への対処, ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
目標16(平和) 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し,すべての人々に司法へのアクセスを 提供し,あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
目標17(実施手段) 持続可能な開発のための実施手段を強化し,グローバル・パートナーシップを活性化する。

この17個の目標だけでもかなりの量がありますが、この各目標に対して合計169個のターゲット(目標に対するKPIのようなもの)が設定されています。

それぞれの目標内容については、自分の生活とはかけ離れているように思えるものばかりで、自分の店舗だけが取り組んだとしても何の意味もないと感じられるかもしれません。

 

他の飲食店はどんな状況?

株式会社帝国データバンク SDGsに関する企業の意識調査(2021年)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210706.htmlによると、
「SDGsに積極的」な企業は39.7%。一方で、SDGsに取り組んでいない企業は50.5%と半数を超えている状況です。
言葉はよく耳にするようになりましたが、実際に取り組んでいる企業は4割弱という状況です。

業界別に取り組み度合いをみると、積極的な企業では「金融」が56.0%で最も高くなった。次いで、「農・林・水産」も55.6%で半数を超えた。一方で、SDGsに取り組んでいない企業では「卸売」が52.9%で最も高く、「運輸・倉庫」(51.0%)、「サービス」(50.8%)、「建設」(50.4%)の4業界が5割超となった。

飲食店は「サービス」に該当しますので、2店舗に1店舗が取り組んでいない状況だと言えそうです。

ぐるなびが実施した、「SDGs」や「エシカル(倫理的な)消費」など、環境や健康に配慮された食品や消費に関してアンケートを実施。
関心度のほか、どんな食品を食生活に取り入れたいか 「SDGs・エシカル食材の“今”と“これから”」アンケートでもおよそ半数がSDGsについて関心があると回答しており、おおよそ傾向は似通っています(≠取り組んでいるですが)。
https://pro.gnavi.co.jp/magazine/t_res/cat_6/a_3845/

 

飲食店がSDGsに取り組むメリットとは

ここまでみれば、まだ他の店舗も取り組んでいないのだから、まだウチも取り組まなくてもいいだろうと捉えてしまうかもしれませんが、他店が取り組んでいないからこそ、色々なメリットがあります。

①食品ロスの削減

目標12(持続可能な生産と消費)と関連して、飲食店で発生する様々な食品ロスを低下させる取り組みを、店長からの押し付けではなくSDGsを目的として店舗一丸となって取り組むことができます。

お客様に提供する質の確保とSDGsのバランスはとらないといけません。ただ、現サービスの中でも、お店側からすれば大事なことだが、お客様はそこまで重要だと感じていない(付け合わせのパセリやサラダなど)サービスもあるのではないでしょうか。

SDGsへの取り組みを行う中で、改めて食品ロスを削減できる部分が無いかチェックできるのは大きなメリットです。また、SDGsに取り組んでいることを伝えれば、例えば、パセリが無いことに対して不満を感じる消費者も少なくなるのではないかと思います。

②採用、定着、利用者への魅力が向上する

Z世代(19歳~26歳)と呼ばれる今の若者たちにとって、SDGsに対して高い好感をもっています。

実際に日経BPコンサルティングが調査したデータ(https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM25BAS0V21C21A1000000/)によると

Z世代は「SDGsに取り組む企業に好感が持てる」「SDGsに取り組む企業の製品・サービスを利用したいと思う」「SDGsに取り組む企業で働いてみたいと思う」のすべての項目で「とても当てはまる」がY世代(27歳以上)以上よりも高い結果となりました。

つまり、SDGsに取り組めば、図らずも採用や定着、ES向上にも寄与するだけでなく、利用者にも良い印象をもってもらうことができます。

 

事例紹介

では、飲食店ではどのようなSDGsに取り組んでいるのでしょうか。

①マクドナルド

https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/sdgs/

マクドナルドでは、下記の6つに取り組んでいます。
さすがに世界的な企業ですので、取り組みのスケールも大きいです。

目標2の飢餓をゼロに などは、世界に目を向けるのではなく、こども食堂などへの加盟という形で取り組むことができます。

・むすびえ
https://musubie.org/kodomosyokudo/

・こども食堂ネットワーク
http://kodomoshokudou-network.com/

②農林水産省~食品産業のSDGs事例

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/
食品を扱う他の企業の事例は参考になります。多くの企業が食品ロスを減らす。トレーサビリティ、リサイクルなどを掲げています。

 

SDGsウォッシュにならないために

SDGsウォッシュとは、実際にSDGsに取り組んでいないにも関わらず、SDGsに取り組んでいることでイメージを向上しようとしている活動を揶揄する言葉です。
英語でごまかす、粉飾を意味する「Whitewash」とSDGsを組み合わせたものが語源のようです。(環境に配慮するふりをする「グリーンウォッシュ」という言葉も昔あったようです)

SDGsウォッシュにならないためには、うわべだけの取り組みにならないように注意することが必要です。

例えば、先ほど紹介した食品ロスに対する取り組みについていえば、店舗全体として、経費削減を目的にして食品ロスを削減するのは少し角が立ってしまうので、SDGsのラベルを貼って取り組む。などはSDGsウォッシュと捉えられる可能性があります。(取り組む内容(what)は同じですが、取り組む動機(why)が異なる。)

本稿では、SDGsに対するメリットをお伝えしました。
メリットを享受することは大事だと思うのですが、メリット「だけ」で動くのではなく、SDGsの本来目的を達成するために店舗一丸となって取り組むことが本当に必要なことかもしれません。

この記事の筆者

コンサルタント分才 敦史
大手広告会社にて、業界を代表する企業のマーケティング戦略、ブランド戦略推進に17年間従事し、中小企業診断士の資格取得をきっかけに新経営サービスに入社。 現在は、「地域ナンバー1のお店づくり」「ロイヤル顧客づくり」「選びたくなる理由づくり」をテーマに、飲食業のマーケティング支援、SNSマーケティング支援に取り組んでいる。 中小企業診断士/ブランド・マネージャー/ウェブ解析士

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