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お役立ち情報衛生マーケティングの徹底を

2021年05月28日

衛生マーケティングの徹底を

衛生マーケティングの徹底を

再び、感染症の勢いが増し、これまでとは別次元のステージに入ってしまった感があります。
飲食業にとっては、まだまだ先の見えない試練が続きそうです。

昨年から始まった新しい生活様式に対応し、いち早く業績を回復させた飲食店の代表が「丸亀製麺」でした。
丸亀製麺は、ソーシャルディスタンスの確保、アルコール消毒や換気の徹底によってお客様が安心して食事を楽しめる環境をいち早く整え、それを積極的に情報発信することで業績のV字回復を実現しました。衛生マーケティングの成功事例として耳にされた方もいらっしゃることでしょう。
また、コロナ禍における焼肉店が堅調な数字を維持できている理由は、各テーブルに設けられた換気システムがお客様の感染リスクに対する不安を軽減しているからだと言われています。

お客様に選ばれる飲食店になるために、感染防止対策でいかにお客様に「安心感」を持っていただけるか、今後も衛生マーケティングが最も基本的な取組み且つ最大のポイントであることは間違いありません。

感染防止対策の指針に沿って、スタイルの変更を余儀なくされた代表がビュッフェスタイルでしょう。

コロナ禍前は、利用者全員が共用のトングを用い、大皿に盛られた料理から各自が好みの料理を取り分けました。
色とりどりの大皿料理から、好きな料理を好きなだけ取り分けることにビュッフェの醍醐味がありました。

しかし、共用トングの使用は接触感染につながるため、ビュッフェ会場から共用トングが消え、あらかじめ小分けにされた小皿料理が大皿料理に取って代わりました。また、スタッフに都度、希望のメニューをオーダーし、自席まで運んでもらうオーダー形式のスタイルも多くのビュッフェで導入されるようになりました。
これはこれで良いのですが、ビュッフェ本来の“楽しい”顧客体験は失われた感があります。
かといって、この環境下に共用のトングで料理を取り分けるようなビュッフェスタイルはありえません。

そんななか、感染防止対策を徹底しながら、かつてのビュッフェスタイルを堪能できるお店を訪問する機会がありました。

そのお店の運営方法はこんな感じです。

まず、入口で体温測定とアルコール消毒を行います。
(ここまでは多くの飲食店で実施していることと同じです)

次に、使い捨てのナイロン手袋が各自に1セット配布され、その場で着用の上、手袋の上からアルコール消毒を行います。
そして、料理を取り分け時の注意事項として、マスクと手袋着用の徹底について、案内を受けます。
ここまで済ませ、ようやく店内に通してもらえます。

店内はテーブル間の距離がかなり広めに取られ、テーブルとテーブルの間にはパーテーションが設置されています。テーブル上には除菌タイプのウェットティッシュがボックスで常備され、店内各所で加湿器と空気清浄機も稼働しています。
お店の感染対策の充実ぶりに、ほとんどのお客様は安心感を抱いてくれるのではないでしょうか。

しかし、私が驚いたのはここからでした。
料理は大皿から取り分ける従来のビュッフェスタイルだったのですが、それぞれの料理の前にはたくさんの“未使用”トングが用意されており、各自がそのトングを使って料理を取り分けます。一つの料理を取り分け終わったら、使用したトングは、“使用済み”トングの回収箱に返却します。
ワサビや大根おろしといった薬味においては、“未使用”スプーンが用意されており、使い終わったら使用済みボックスに返却する流れです。
もちろんお客様は着用を義務付けられたナイロン手袋をはめており、そのうえで、取り分け用のトングやスプーンは1つの料理に対して1人1つ用意されているという徹底ぶりです。

お店側にとってはトングやスプーンを洗ったり、消毒する負荷が大きいですが、食事を楽しむ側にとって、これほど安心できる運営はありません。

当然、このお店は常時混雑しており、各テーブルには食事を楽しむお客様の笑顔があふれていました。
私個人としても、非常に安心して食事を楽しめ、とても印象的なビュッフェ体験でした。

ちなみに、その体験から数日後、また別のビュッフェレストランに行く機会がありました。

そちらのビュッフェは小皿に取り分けられた料理から、好みの料理を各自でチョイスする最近多いスタイルでしたが、なぜかドリンクの氷用トングは共用のものでした。
また、コーヒーマシンも都度ボタンを押すタイプです。
製氷機やコーヒーマシンの側に使い捨て手袋や除菌用ウェットティッシュ、アルコール消毒液が置かれているわけでもありません。

感染防止対策を徹底したビュッフェを訪問した直後だったため、トングに触れるのもボタンを押すのも非常に抵抗感がありました。
一緒に訪れた妻が先に料理をサーブして戻ってきたのですが、席につくなり発した言葉が「このお店は感染がこわい」でした。

ここ最近、猛威をふるい続けている変異型ウイルスは、これまでのウイルスより感染力が強く、これまで感染しにくいとされていた子どもであっても、大人同様に感染することが大きな特徴とされています。しかも、軽症者が突然重症化し、そのままお亡くなりになってしまわれた事例も多く報じられています。

感染に対するお客様の不安がますます高まる中、貴店の感染防止対策はいかがでしょうか?
これまで講じてきた対策だけで、お客様に充分な「安心感」を与えられているでしょうか?

状況は日々刻々と変化しています。
これまで来店してくれていたお客様であっても「不安」を感じた瞬間に来店してくれなくなるかもしれません。

お客様に自店の利用に安心感を持っていただき、そして、自店の利用をきっかけとした感染者を出さないためにも、現在実施中の感染防止対策を改めて見直し、ブラッシュアップを図られることをお勧めいたします。

この記事の筆者

コンサルタント分才 敦史
大手広告会社にて、業界を代表する企業のマーケティング戦略、ブランド戦略推進に17年間従事し、中小企業診断士の資格取得をきっかけに新経営サービスに入社。 現在は、「地域ナンバー1のお店づくり」「ロイヤル顧客づくり」「選びたくなる理由づくり」をテーマに、飲食業のマーケティング支援、SNSマーケティング支援に取り組んでいる。 中小企業診断士/ブランド・マネージャー/ウェブ解析士

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