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(クレド作成編)

飲食店の教育ノウハウ失敗させない!飲食業のクレド経営ノウハウ②
(クレド作成編)

失敗させない!飲食業のクレド経営ノウハウ②<br>(クレド作成編)

主体的に考え、行動できる人材が育つクレド経営。
自社で進めるクレド作成法とそのポイントを紹介します

「クレド理解編」に引き続き、ここからはクレドの作成について、弊社が行っている作成手順をできるだけ具体的に紹介していきたいと思います。

※「クレドって何?」という方は、まずは「クレド理解編」からお読みください。

目次CONTENTS

01プロジェクトチームを立ち上げる。

クレド作成に向け、まずは社内でプロジェクトチームを立ち上げます。

プロジェクトチームのメンバーは、経営層以外の従業員で構成しましょう。
メンバーにはクレド完成後に、店舗や本社での浸透役を担っていただきたいので、異なる店舗や部署から、上司・後輩からの信頼が厚く、意欲ある若手を指名してください。
入社間もない方では、まだまだ会社全体の理解が浅いため、勤続3年程度を最低の目安にします。

<ポイント①>

プロジェクトは経営者直轄で

経営者直轄とすることで、「会社事としてクレド作成に本気で取り組む」という従業員への強いメッセージになります。

「なぜ、クレドを導入するのか」「クレドによって何を実現したいのか」といった目的や意義を経営者から全従業員に丁寧に説明し、理解と協力を仰いだ上で、チームを編成していきます。
また、経営者はプロジェクトの進捗状況を把握し、時には必要に応じてメンバーにアドバイスをしながら、作成されるクレドの内容をチェックし、最終承認を行います。

<ポイント②>

従業員を巻き込み、ボトムアップで作成する

「会社が作ったルールを押し付けられている」とならないよう、経営層が作成したものを発信するのではなく、従業員代表でチームを編成し、そのチームを中心に作成を進めます。
クレドの内容を自分たちの信条として受け入れ、「自分たちはこうありたい」「このように成長していきたい」と思ってもらえるよう、「自分達が考えた」と認識してもらうことが重要なのです。

02リーダーを選任する

メンバーが決まれば、次はプロジェクトメンバーの中からリーダーを1名選任します。
リーダーの選任は経営者が行い、期待をこめて直接本人に伝えるのが望ましいです。
「会社から大きく期待されている」と自覚させることで、リーダーのモチベーションをぐっと高められます。

なお、リーダーには、周囲からも一目置かれ、みんなを巻き込んで引っ張っていけるような方が適任です。(いわば幹部候補生)

さらに加えて言うと、私の経験上、役職者や年長者より、メンバーの中で年齢を下から数えた方が早い若手を起用する方が良いと思っています。

理由は、役職者や年長者のリーダーが意見を出すと、他の意見を持つメンバーであっても、無条件にリーダーの意見に賛同してしまい、意見が出にくくなる場合が見受けられるからです。

逆にリーダーが若い場合だと、苦労しながらも一生懸命頑張っている後輩をサポートしようという感情がメンバーに生じ、活発に議論が交わされたり、チーム内での良い関係性が生まれやすくなったりといった印象があります。

<リーダーに向いている人>

・意欲的に仕事に取り組んでいる人
・改善意欲の強い人
・自己の成長に貪欲な人
・上司・先輩・後輩からの信頼が厚い人
・リーダーシップをとれる人
・壁にぶち当たっても、諦めずに立ち向かえる人
・他人のせいにしない人(他責にしない人)
・会社全体のことをある程度わかっている人
・お店や会社を良くしていきたいと考えている人

03作成方法・スケジュールを決定する

プロジェクトのメンバーは、現場の第一線で忙しくされている優秀な人材ばかりです。
よって、急に言って、急に集まれるわけでもありません。

予め、いつまでにクレドを完成させるのか、そのためには、「いつ」「どこで」「どれくらいの時間」を使って議論を進めるのか、「どのような形式」で行うのか等をメンバー間できちんと決めた上で、個々人のスケジュールを確保していく必要があります。

<ポイント>

ミーティングスケジュールは、必ず予備日を設定する

先にクレド完成のゴールを設定し、そこから遡って、すべてのミーティングのスケジュールを決めてしまいましょう。

こういった議論は、会議慣れしているメンバーでも長くなりがちで、想定以上に進行に遅れが生じることを前提にしてください。
よって、進行の遅れを取り戻す日をミーティング2回分くらい確保しておくと、後々にミーティング追加の日程調整を行わずに済むのでおススメです。

04経営層にヒアリングを行う

次は、プロジェクトメンバーで、経営層へのヒアリングを行います。
クレドは企業理念を前提に作成されるため、経営層の価値観、判断基準、将来ビジョン等をヒアリングし、その実現に向けた考え方や価値観、行動指針を盛り込む必要があるからです。

・どういった将来ビジョンを描いているか
・従業員に期待することは何か
・お客様にどうなってほしいか
・取引先や世の中にどうなってほしいか
・そのために、飲食事業を通じて、会社はどうありたいのか

等々、クレドの導入でどんな効果を得たいのかという「ゴールイメージ」を経営者とプロジェクトメンバー間で、改めてきちんと共有しましょう。

<ポイント>

クレドの内容と実際の行動に矛盾が生じないよう、経営層と従業員が同じ目的や意義をしっかりと共有できるまで、議論を尽くしましょう。

05チームで議論し、暫定案を作成する

次はプロジェクトメンバーで議論を行います。
企業理念や経営層へのヒアリング結果をベースに、理念達成に向けて自分たちが取るべき行動指針、価値観を議論していきます。

議論の進め方は、リーダーがファシリテーターとなり、以下のような手順で行うと良いでしょう。

  1. 模造紙(10枚程度)、黄色とピンク色の正方形の付箋紙(黄色:人数×100枚 ピンク色:100枚)、マジック(人数分)を用意します。
  2. 企業理念や経営層へのヒアリング結果から「達成すべきゴール」を抽出し、1つずつ「お題」として切り分けていきます。
    例:顧客満足度を高める/すべてのステイクホルダーを幸せにする 等
  3. 切り分けたお題を1つずつ議論していきます。
    そのお題は「どういった行動・状況によって達成可能か」を出来るだけ多くの切り口で、
    出来るだけたくさんの行動を書き出していきます。これをまずはメンバー個々人で考え、黄色の付箋紙1枚につき、1アイディアを書き出します。
    この際、質のバラツキは無視し、とにかく数を出すことに努めます。
  4. 個人で書き出したアイディアをメンバーで共有しながら、付箋紙を模造紙に貼っていきます。
    この時、似たアイディア同士を隣に貼り、グループ化していきます。
  5. 全員のアイディアの貼り出しが終われば、似たアイディア同士をグループとして、マジックで線を描いて囲んでしまいます。
  6. それぞれの線で囲まれた行動をとるためには、具体的にどういう「考え方、価値観」を持っていれば、その行動に結びつくかを考え、メンバーで議論します。
    考えがまとまれば、ピンク色の付箋紙に書き出し、グループの上に貼り付けます。
    この「考え方、価値観」は、だらだらとした文章で書くのではなく、簡潔且つ具体的に1文でまとめます。
  7. 上記⑥をすべてのグループに対して行っていきます。
    すべての作業が終われば、改めてピンク色の付箋紙の内容を確認し、付箋紙同士で重複しているものや、似たようなものはひとつにまとめます。
  8. 改めてピンク色の付箋紙を見直し、それが黄色の行動を導き出す「考え方」「価値観」「行動指針」になっているかをチェックします。
    もし、なっていない様であれば、もう一度ピンク色の付箋紙の内容を検討しなおします。
  9. 1つのお題が終了すれば、次のお題に移ります。
    これを順番に繰り返していくことで、プロジェクトチームとしてのクレドの「暫定案」が出来上がります。

<ポイント>

完成したクレドが「絵に描いた餅」になってしまわないよう、実際に行っていることや実践可能なことだけを盛り込むようにしましょう。

【ここをチェック】

・ポジティブ且つ分かりやすい言葉が用いられているか
・簡潔、端的に表現されているか
・会社の「らしさ」(カルチャー・雰囲気)を出せているか(ありきたりの内容になっていないか)
・どんな考え方を持ち、どのように行動すれば良いか、がイメージとして沸いてくるか
・お客様にも共感いただける内容になっているか
・お客様や社会に価値を提供できる内容になっているか
・実践可能な内容になっているか

06従業員にアンケートやヒアリングを行う

クレド作成で重要なのは、現場で働く従業員の「共感」を生み、「賛同」を得られているということです。
よって、プロジェクトチーム内だけの議論で終わらせてしまうのではなく、プロジェクトチームで作り上げた「暫定案」について、全従業員にアンケートやヒアリングを行い、広く意見を収集します。

アンケートやヒアリングを通じて得られた「会社を良くしたい」と考える従業員の想いは積極的に取り入れましょう。
プロジェクトチームが議論して生み出した案に、その他の従業員の声が反映させることで、より価値あるクレドに磨き上げます。

07暫定案を修正し、明文化する

従業員へのアンケートやヒアリングを受け、チームでの議論を終えれば、暫定案を修正し、プロジェクトチームとしての最終案に仕上げます。

改めて言うことでもないですが、クレドを届ける対象は、経営層やお客様ではなく“従業員”です。
再度、出来上がった最終案が、簡潔、明瞭、独自性(らしさ)を満たす内容になっているか確認しましょう。

08経営層への確認 ~ 最終調整

出来上がった最終案を経営層に提案します。
経営層からのフィードバックを受け、内容の不足や伝わりにくかった文章を洗い出し、最終調整を行って完成です。

09ツールを制作し、全従業員に共有する

完成したクレドは、いつでもどこでも確認できるよう、カード等にして全従業員に配布するとともに、社内やスタッフルーム等に掲出しましょう。
従業員が判断に迷った際、判断基準(拠りどころ)となる「価値観」や「行動指針」として機能することが、クレドの最大の価値となります。

<ポイント>

「伝える」と「伝わる」は全く別ものです。
いくら想いを詰め込んで作成したクレドであっても、伝わらないものは存在しないも同然です。

カードにして従業員に配布するとしても、どうすれば「きちんと伝わる」かをよく考えてデザインする必要があります。
本来の目的が置き去りにされ、単に「見た目がかっこいいから」「お洒落だから」という理由だけでデザインが承認され、機能不全に陥っているツールは世の中にごまんとあります。

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

クレドの紹介と弊社が行っているクレド作成方法についてご紹介してきましたが、クレドの作成方法に「こうしなければならない」という「決まり」や「型」があるわけではないので、ポイントを押さえた上で、自社や自店に適した方法で取り組んで頂ければと思います。

読んで理解はしたけど、自分達だけで作成するのはちょっと・・というような飲食業、飲食店運営企業様がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。

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