飲食店の採用ノウハウ欲しい人材を確実に採用できる!「採用面接」ノウハウ
- 選考辞退や内定辞退が相次いで発生しており、選考手法の見直しを考えている
- 面接官によって見極めの基準が異なり、採用のミスマッチが起きている
- 面接の進め方が属人的で、求める人材を獲得するために計画的な採用面接を行いたいと考えている
採用面接は、「採用の可否が決まる場」という点で、企業と求職者にとって重要な時間と言えます。
しかし、昨今の売り手市場により、採用面接は企業側が一方的に質問をして採否を判断する「採用の可否を決める場」から、対話を通じてお互いの考えや価値観を共有する「相互理解を深める場」という傾向がより強くなっています。
本サイトでは、近年の採用面接におけるポイントと採用ミスマッチを防ぐ方法、そして飲食企業が行う少し変わった面接事例をご紹介します。
目次CONTENTS
01採用面接で重要なのは「見極め」よりも「動機づけ」
面接官の役割や必要なスキルとは何でしょうか。
1つは、当然ですが求める人材像か否かを判断する「見極める力」です。
面接官は、1時間程度という短い時間で、求職者の志向性や価値観、強み・弱み等を把握し、求める人材像と照らし合わせて採否を決める力が必要です。
しかし、複数企業の内定を保有する求職者が増えている昨今の売り手市場下では、求職者にとって魅力と思える自社の情報を積極的に提供し、自社を就職先として選んでもらうための「動機づけ力」が、「見極める力」よりも重要となっています。
多くの中小企業では、未だに「採用の可否を決める場」として採用面接を行っているように思います。
ある調査によると、求職者(学生)が選考を辞退した理由として、「自分が思っていた仕事とは違いそうだった」「その企業の文化や価値観などが合わなそうだった」「社員の雰囲気が自分とは合わなそうだった」といった“なんとなく”の理由だったそうです。
つまり多くの求職者は、その企業を良く理解した上で、明確な理由を持って選考を辞退しているわけではなく、面接で自分にとって魅力と思える情報が聞けず、結果的に“なんとなく”選考を辞退しているのです。
選考辞退や内定辞退に関する課題を感じている企業は、自社の面接官が何を意識して面接に臨んでいるのかを把握した上で、「面接は見極めだけでなく、動機づけも重要なポイントである」ことを、
しっかりと面接官と伝えていくことが重要です。
02採用のミスマッチ、選考辞退・内定辞退を防ぐ方法
新卒社員のうち3割が3年以内に離職すると言われている昨今、「採用のミスマッチ」を課題に感じる企業が増えています。
では、採用のミスマッチや選考辞退・内定辞退を防ぐためには、どのようなポイントを抑えて採用面接を企画すれば良いのでしょうか。
この章では、採用ミスマッチや選考辞退や内定辞退を防ぐ採用面接を企画するための重要なポイントを3つ解説します。
2-1. 面接ステップごとに面接の目的(ゴール)や面接官の役割を明確化する
採用のミスマッチや選考辞退・内定辞退が発生する理由の1つとして、面接官の役割が多岐に亘ることで、十分な見極め、動機づけができないことが挙げられます。
そこで、下図のように面接ステップごとに「何を目的(ゴール)とした面接なのか」「その面接における面接官の役割は何か(見極めと動機づけのウェイト配分)」を明確化することで、求職者を確実に獲得するための計画的且つ効果的な面接ステップを企画することができます。
なお、採用面接ステップごとのポイントは以下の通りです。
- 1次選考
1次選考では、求職者の自社の理解度や動機づけが不十分であることが想定されるため、見極めではなく、動機づけを主な目的とする面接を行うことが重要です。
また、面接内容についても工夫が必要です。
自社の理解度が不十分である状態で、自社に入社後のビジョンや、やりたい仕事などを質問しても、求職者側からすると曖昧なイメージのまま抽象的な答えしか出すことができず、採用のミスマッチを招く可能性があります。そこで、1次選考では、コミュニケーション力などの自社の社員として最低限必要なスキルについて判断できる面接内容が良いでしょう。また、面接時間のうち、半分程度は求職者からの質問
に答える時間を設け、求職者が知りたい情報を提供し、自社への動機づけを図ることが重要です。 - 2次選考・3次選考
2次選考では、ある程度自社への理解が進んでいることを踏まえて、入社後のビジョンや、やりたい仕事などをベースに対話を行うことで、求職者の考えや価値観を判断できる面接内容が良いでしょう。1次選考はコミュニケーション力といったスキル面の見極めであったのに対し、2次選考は求職者の考えや価値観といったマインド面の見極めであるため、採用のミスマッチが起こりやすく、面接官には、より高度な見極め力が求められます。
そのため面接官を選定する際は、自社で活躍する社員を多く育成してきた役員や部門長クラスを中心に選抜することで、自社とのマインド面でのマッチング度合いを判断することが重要です。
- 最終面接
最終面接では、「求職者の最後の意思確認の場」とすることが重要です。
また、自社の将来展望を踏まえた、求職者への期待事項を伝える場としても活用することで、求職者の動機づけを行うと良いでしょう。上記の面接内容を行う場合は、会社の代表として経営者や経営陣が面接官を務めることが重要です。
2-2. 面接官で求める人材像について再度共通認識を持つ
殆どの企業で設定されている求める人材像ですが、表現に曖昧な部分が多いため、面接官同士で共通認識を持てておらず、面接官の違いによる採用基準のズレや採用のミスマッチを招いているケースが少なくありません。
そのため、採用面接がスタートする前には、面接官同士で自社の求める人材像について議論する場を設け、改めて求める人材像についての共通認識を持つことが重要です。
面接官同士で求める人材像についての共通認識が持てると、求める人材像か否かを判断するための効果的な質問を投げかけることができるため、見極め力を強化することができます。
また、求める人材像をもとに、面接で伝えるべき自社の魅力・強みが明確になり、より効果的な動機づけが可能になります。その他にも、求める人材像について面接官同士で議論する場を設けることで、求める人材像のブラッシュアップを行うことができます。
経営陣のみで求める人材像を策定している場合は、現場が欲しい人材とのミスマッチが起こっている可能性があるため、面接官を担っている現場のリーダーなども交えて求める人材像について議論することで、より現場の意見が反映された求める人材像を策定することができます。
(求める人材像の策定ノウハウについては、こちらの記事をチェック!⇒「求める人材像策定ノウハウ」)
2-3. 面接ステップごとに評価シートを作成し、採否基準の標準化を図る
採用のミスマッチが起こる最大の要因として、「面接官同士で採否の基準が異なる」ことが挙げられます。
そこで、面接ステップごとに評価シートを作成することで、共通の採否基準を設けることが重要です。
また、短い時間で採否を判断することが求められる採用面接では、その場で詳細に評価シートを記入することは難しいため、シンプルで面接官にとって評価しやすい仕様にすることがポイントです。
例えば、プレゼンテーションによって求職者の表現力やコミュニケーション力等を判定する面接を行いたい場合は、「表現力=伝えたい事は明確か、考えや価値観は明確か」「コミュニケーション力=質問の意図を正しく理解し、回答できていたか」といった簡易的な項目定義を設定することで、「面接で何を、どのような観点で評価すれば良いのか」が明確化でき、共通の採否基準を設けることができます。
また、面接官によって質問内容が大きく異なると、求職者の相対評価が難しくなることを踏まえて、必須質問をいくつか設けておくこともポイントです。
03飲食企業が行う変わり種面接事例
この章では、実際に飲食企業が行っている(または行っていた)、変わった採用面接事例をご紹介します。
- ネガティブなイメージを持つ「裏口採用」を敢えて打ち出した、A社の「裏口採用」
A社では、2015年度から通常の採用ルートと別に、飲食企業ならではの「裏口採用」ルートを用意しています。「裏口採用」ルートは全部で9つあり、それぞれに応募条件と課題が課され、その課題をクリアすると最終選考まで進めるという面接内容となっています。
この面接方法は、一見すると「良い人材を採用できないのではないか」と思われますが、「何を考えどのように生きてきたのか」「求める人物像に近い人材か」など、狙いを持った課題を課すことで効果的な面接を行うことでき、採用のミスマッチを防ぐことができています。
- 面接への応募者の増加を目的とした「ふぐ顔採用」を行うB社
B社では、自社のメイン食材であるふぐを用いた「ふぐ顔」採用をはじめとする29のユニークな採用面接を行っています。B社では、「ふぐ」に因んで29の採用面接を設け、話題性を持たせることで面接の応募者不足を解決しています。
例えば、自社の料理を食べながら面接を行う「ふぐ面接」や、虎柄の服を着て面接に臨んだ求職者に1,000円分のクーポンをプレゼントする「とらふく採用」、英語や中国語等の複数言語を話せる求職者に2,900円分のクーポンをプレゼントする「フグリンガル採用」など、非常にユニークな採用面接を行っています。
一見すると「自社の求める人材像からの応募は集まらないのではないか」と思われますが、ユニークな面接手法ながらも、自社の求める人材像を集めるための工夫がされています。
例えば、上記で紹介した「フグリンガル採用」は、海外に店舗展開しているB社にとって重要な「言語力」を見極めるには効果的な面接になっています。
その他も、面接も求める人材像に沿って面接内容が企画されており、「自社が求める人材像からの応募が少ない」と悩む飲食企業にとって非常に参考になる事例の1つです。
まとめ
- 売り手市場下における採用面接は、「見極めの場」ではなく「動機づけの場」にする
- 採用のミスマッチを防ぐためには、面接ステップごとの目的とその中での面接官の役割を明確化する
- また、採用面接がスタートする前には、面接官同士で求める人材像について議論する場を設けることで、求める人材像に関する共通認識を持たせる
- 面接官の違いによる採否基準のズレ防止を図るために、面接ステップごとに評価シートを作成すし、自社としての共通の採否基準を設ける