お役立ち情報飲食店店長のための「生産性」講座②
2020年12月11日
前回(飲食店店長のための「生産性」講座①)のポイントは以下のとおりでした
- 飲食業の生産性は、他産業に比べて非常に低い
- 飲食業の中では、客単価の高い業態が、生産性が高い
- 生産性が高いほど、賃金水準も高めることが可能
- 生産性の指標は様々あるが、「人時生産性(一時間あたりいくらの付加価値を稼いだか)」を抑えておく
前回の問いかけにもありましたが、店長の皆さんが
「あなたのお店の生産性はどれくらいですか?」
と問われたら、
「人時生産性でいえば、●●●円くらいです」
とお答えになられたら、間違いなく合格店長です。
しかし、残念ながら
生産性の指標である「人時生産性」や「人時売上高(にんじうりあげだか)」を管理している飲食企業や店舗は少なく、飲食店の店長陣に、「自店の生産性は?」「自店の人時売上高は?」と聞いても答えられるところはほぼ皆無です。
飲食店は、人時生産性や人時売上高の目標はどこに設定する?
生産性を講義していると、よく聞かれる質問が
では、一体いくらくらいの人時生産性を目指せば良いのでしょうか?
という質問です。
その回答の前に「人時売上高」と「人時生産性」についての違いをおさえておきましょう。
この経営指標は、「従業員1人が1時間働くことで、いくらの売上/粗利を獲得したのか」を測るものです。
似てはいますが、この2つは違う指標なのでお気を付け下さい。
- 人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間
- 人時生産性 = 粗利高 ÷ 総労働時間
例えば、以下の売上の良いA店と、売上の劣るB店で比較してみましょう。
A店の人時売上高は1000万円/2500時間なので4,000円、人時生産性は600万円/2500時間なので2,400円ということになります。
B店は人時売上高が800万円/1500時間なので5,333円、人時生産性は560万円/1500時間なので3,733円となります。
このように比較すると、B店の方が「生産性の高い店」と言えます。
つまりB店の方が、少ない労働時間数で売上と粗利を多く確保できているのです。
しかし、この人時売上高や人時生産性が高ければ高いほど良いというと決してそうではありません。
少ない労働時間数で、多くのお客様を接客している場合は、場合によっては、お客様に喜んでいただけるだけのきめ細やかなサービスが提供できていないケースがあります。
よくありがちなケースは、人時売上高を高めようとした場合に、
では、自店舗では一体、いくらの人時売上高を目標にすべきでしょうか?
私は、まず毎月の人時売上高のデータを作成すべきとお伝えします。
飲食店では人時売上高が5,000円以上を目指さなくてはならないとか、言われることがありますが、高級レストランから、ラーメン屋まで業態によって様々で一括りにはできません。
このように月別に人時売上高のデータが取れれば、「繁忙期では6000円を目標にしよう!」「閑散期では4700円を目標にしよう!」という捉え方もできます。
目標人時売上高から逆算して標準シフトを組む
標準シフトを組む際も、この人時売上高から全て逆算して、あるべきシフト像を組みます。
仮に人時売上高の目標が5,000円だとすると、
となり、平日であれば40時間の労働時間で、土日祝であれば54.5時間の労働時間でシフトを組むことが求められます。
下記は、平日で、予想売上高20万円、目標人時売上高5,000円の場合の標準シフト例です。
今回のコラムを参考にしていただき、
自店舗の目標人時売上高・生産性の設定、およびシフト作成のヒントにしていただけたら幸いです。