お役立ち情報外食産業はどこに向かうか
~外食産業の歴史と、これから(その1)~
2020年09月01日
新型コロナウイルス感染症は、外食産業にあまりにも大きな影響を与えることになりました。
我が国の外食産業はこれからどこに向かうのか?
その問いの答えを探すべく、今回から、外食産業のこれまでの歴史を簡単に見ていき、これからの外食産業の進んでいく方向を考察したいと思います。
1970年 外食産業元年
日本で本格的な外食産業の展開が始まった1970年が「外食元年」とされます。
大阪万博のパビリオンに「ケンタッキーフライドチキン」が出店し、また同年、日本初のファミリーレストラン「すかいらーく」が登場。
71年には「マクドナルド」「ミスタードーナツ」の第1号店がオープンし、翌72年には「モスバーガー」「ロッテリア」がオープンしています。ファーストフードの画期的な調理方法や合理的なサービスが話題になりました。
このように、それまでは祝い事や行事などの際の特別なものであった外食は、1970年代以降は庶民にとっても日常的なものとなっていきました。
1975~1990年 外食市場規模の拡大(店を出せば繁盛)
女性の社会進出や人々の生活水準の向上などに後押しされ、ファーストフード、ファミリーレストランなどが続々と登場。80年には、市場規模14兆円産業へと成長を果たしました。83年にはフランチャイズ形式の居酒屋「白木屋」もオープンしています。
また、セントラルキッチンの建設やマニュアルの登場により、均一な商品・サービスの提供が可能になりました。
80年代後半には、バブル景気もあって市場規模は20兆円越え。好景気を背景に空前の「グルメブーム」が起き、テレビのグルメ番組や『美味しんぼ』に代表されるグルメ漫画も流行するなど、外食が娯楽のひとつとして広く定着しました。
まさに、店を出せば繁盛する状態であり、「チェーンストア理論」を取り入れた大手チェーンが急速に規模を拡大していきました。
1990~1995年 成長鈍化、ホスピタリティの追究
90年代に入ると、バブル崩壊後の景気低迷などにより外食産業の成長スピードも鈍化し、低価格路線が浸透(デフレの影響を受け大手チェーン同士が競争を繰り広げる。マクドナルドの80円バーガーも誕生したのがこの頃)。
また、バブル崩壊による地価下落等により地価や家賃が安くなり、ファミリーレストランの都心部への出店や、居酒屋チェーンの郊外への出店が容易にもなりました。
しかし、低価格競争が話題になるものの収益は改善せず、次は低価格競争からの脱却を計ろうと、外食企業では、価格より質・サービスの見直し(ホスピタリティの追究)が叫ばれるようになりました。ラーメン屋のレベルが高くなってきたのもこの頃です。
90年代後半以降は、スターバックスなど外資系コーヒーチェーンも進出しています。
続きは、次回コラムにて