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シフト管理ノウハウ

飲食店の教育ノウハウ人件費を思い通りにコントロールする!
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人件費を思い通りにコントロールする!<br>シフト管理ノウハウ

余計な人件費がかかっていないか、5つの観点でシフト管理を見直す方法を紹介

2019年10月東京・神奈川の最低賃金がついに1,000円を超えました。毎年上がり続ける最低賃金。さらに追い打ちをかける採用難による時給相場の上昇。大都市圏では、募集時給1100円、1200円が当たり前の相場になってきました。

人件費率の高い飲食業にとって、人件費の収益圧迫は、死活問題と言っても過言ではないでしょう。とはいえ、このような外部環境の変化に対応できなければ、企業の存続に赤信号がともります。変化に耐えうる経営をするには、内部にも目を向ける必要があります。

目次CONTENTS

01人件費が収益を圧迫している内的要因

人件費が収益を圧迫している内的要因は「時間管理ができていない」「スタッフが育っていない」など様々ですが、これらは「適正なシフト管理」で解決できる可能性があります。(後述)ここでいう「シフト管理」とは、シフト作成~運用管理までの一連の流れを指します。
また「適正なシフト管理」とは、人件費をコントロールできるシフト管理を指します。

では「適正なシフト管理ができていない」店舗が抱える問題を、SV/店舗指導者側・店長側に分けて考えてみましょう。

SV/店舗指導者側の問題

  • 適正なシフト作成に関する指導を店長に行えていない、指導方法がわからない
  • 適正の基準(正解)が指導者によってバラバラ、経験と勘だより
    (店舗指導者側にシフト作成に関するノウハウがない)
  • 人件費の予算組が甘い、予算がない

➡ 結果現場任せとなり、シフト管理による人件費のコントロールができない。収益を圧迫する

店長側の問題

  • 適正なシフトが作成できない、運用できない、ノウハウがない
  • 人を投入しすぎていても気がつかない(現状が適正と考えている)
  • 不足している曜日・時間帯・ポジションが不明確
  • スタッフのシフト希望に振り回される

➡ 結果、経験と勘、スタッフのご機嫌頼りのシフトとなり、シフト管理による人件費のコントロールができない。収益を圧迫する

シフト管理ノウハウを活用するとこうなる

  • 人件費をコントロールできる
  • 店舗の生産性(人時売上高)が上がる
  • 店長の数値管理力が向上する
  • シフト作成にかかる工数が削減できる
  • スタッフの教育時間が取れる
  • スタッフの定着率が上がる
  • 不足している曜日・時間帯・ポジションが明確になり、採用ターゲットが絞り込める

上記の効果は、これからご紹介する「シフト管理ノウハウ」を、実際にクライアント企業様に導入し、成果として現れたものです。ここからは「シフト管理ノウハウ」を、チェックポイントを交えて説明しますので、引き続きご覧ください。

02「人件費コントロールのためのシフト管理」の5つのチェックポイント

2-1. 適正な予算組ができているか

ここでいう予算とは、月間総労働時間の予算のことです。予算はシフトを考える上での拠り所となります。予算が出せていないと、シフト管理にもぶれが生じます。
では、これから予算の考え方を見ていきましょう。

月間総労働時間の予算の出し方は以下の2通りです。

  1. 店舗の人件費率予算から考える月間総労働時間予算
  2. 店舗の人時売上高予算から考える月間総労働時間予算

①店舗の人件費率予算から考える月間総労働時間予算

人件費率とは、売上高に占める人件費の割合を指します。
飲食業でよく用いられる人件費率目安は30%と言われています。(国内の上場外食企業の人件費率は25~35%程度)

計算式
・人件費率=人件費/売上高
・月間総労働時間予算=売上予算×人件費率予算÷平均時給単価

例:X店の場合
 月間売上予算a 5,000,000円
 人件費率予算b 30%
 平均時給単価c 1,000円
 月間総労働時間予算 1,500時間(a×b÷c)

②店舗の人時売上高予算から考える月間総労働時間予算

人時売上高とは、生産性を表す指標として用いられ、店舗で働くスタッフ一人一時間あたりに売り上げる金額を指します。
例えば、月商5,000,000円の店舗の総労働時間が1,000時間とすると、人時売上高は5,000円ということになります。
業態にもよりますが、人時売上高の目安は4,000円~5,000円と言われています。(国内上場外食企業の人時売上高は5,000円程度)

計算式
・人時売上高=売上高÷総労働時間
・月間総労働時間予算=売上予算÷人時売上高予算

例:Y店の場合
 売上高予算a 5,000,000円
 人時売上高予算b 4,000円
 月間総労働時間予算 2,000時間(a÷b)

ただし注意しなければならないのは、目標を高くしすぎるとQSC、顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
これまでの実績を鑑みて、無理のない予算設定を行いましょう。
人件費率・人時売上高ともに業態によって水準が変わります。現時点で人時売上高が3,000円の店舗が、急に人時売上高予算を4,000円とすることは得策とは言えません。
また一店舗の人時売上高実績を時系列で月ごとに調べると、売上高が高い月は、人時売上高も高い傾向にあります。
過去の人時売上高実績が高かった月で、QSC、顧客満足度に問題がなければ、その月の人時売上高を予算の基準として考えてもよいでしょう。

人時売上高を予算の基準

人件費率、人時売上高ともに予算を作成されていない場合は、まず人件費率・人時売上高の考え方を店長に慣れさせることから始めましょう。
「研修を行う」、「毎月の実績を店長に計算して出してもらう」、「会議資料や業績管理指標に取り入れる」など、社内共通言語とすることをまず目指しましょう。

2-2. 予算を根拠としたシフト作成ができているか

2-1で設定した月間総労働時間予算をもとにシフトを作成するには、モデルシフトの使う方法が有効です。モデルシフトとは、シフトのパターン化のことです。

≪モデルシフトの作り方≫

  1. 月間予算から週間予算を算出する
  2. 曜日別予算を算出する
  3. シフトパターンを作る
モデルシフトの作り方

①月間予算から週間予算を算出する

例:Z店の月間総労働時間予算は2,400時間です。月間の営業日数が30日(店休日なし)の場合、週間総労働時間予算は2,400時間÷30日×7日=560時間となります。

②曜日別予算を算出する

曜日別予算を算出する場合、曜日ごとの繁忙度を基準に予算を割り振る方法を用います。
曜日別の繁忙度を比較は、客数・出数・売上高などを用います。例では売上高を基準としました。

例:Z店の曜日別の平均売上高の比率を調べると、このようになりました。

平均売上高の比率

Z店の週間総労働時間予算は560時間ですので、曜日別の予算はこのように設定されます。
例えば、月曜日の予算であれば、週間労働時間560時間÷売上比率合計8.3×月曜日の売上比率1.0=67.5時間と計算できます。

平均売上高の比率

③シフトパターンを作る

予算が近い曜日をパターン化します。上記の例であれば、月・木曜日をパターンA、火曜日をパターンB、水・金曜日をパターンC、土・日曜日をパターンDの4つのパターンを作ることができます。次にそれぞれパターンのモデルシフトを作成します。

シフトパターンを作る

作成したモデルシフトに、スタッフを当てはめていきます。

2-3. 営業可能な一日の最低総労働時間を把握できているか

いくら閑散日でも、ワンオペ状態となれば、QSCの低下、顧客満足度の低下につながる恐れがあります。
それを防ぐ意味でも、あらかじめ営業可能な一日の最低総労働時間を把握しておきましょう。
例えば、営業可能な一日の最低総労働時間が70時間の場合、上記パターンA(月・木曜日)は67.5時間なので、70時間を下回ることになります。
この場合は、パターンAを70時間とし、他のパターンBCDの労働時間を減らすことで調整を行います。

最低総労働時間を把握

2-4. 教育時間をシフトに組み込めているか

人件費の抑制は、短期的視点で考えると労働時間を削ることに焦点が当てがちですが、長期的視点で考えた場合、スタッフの教育は不可欠です。
スタッフの仕事の幅が増え、スキルが上がり、マルチタスク化ができれば、その分人件費は浮いてくるはずです。
逆にこれを怠れば、必要以上の人員を確保しなければならず、また離職につながる可能性もあります。
ですので、教育時間をシフトにあらかじめ組み込むことをお勧めします。ここでも、モデルシフトの考え方を活用します。

例えば、②の事例で教育時間を盛り込んだシフトをパターンA’、B’、C’、D’というようにパターン化してしまいます。

また教育時間については、きちんと教育時間として費やせることを前提として、最初に月間総労働時間予算とは、分けて設定するとよいでしょう。

月間総労働時間

2-5. スタッフのシフト希望が優先される環境にしていないか

ここでお伝えする最後のチェックポイントになりますが、実はこれが一番大事なチェックポイントです。
シフト作成において、スタッフのシフト希望を集め、それをもとにシフトに当てはめるやり方をしていませんか?
この場合、スタッフの希望にシフト作成が振り回され、結果人件費のコントロールが難しくなります。

実際私の支援先の多くの企業では、スタッフ希望優先シフトが常態化しており、シフト管理に影響が出ていました。
これを防ぐには、最初に店の希望をスタッフに提示することです。
モデルシフトにスタッフを当てはめ、例えば「Aさんにはこの曜日のこの時間に入ってほしい」と伝えます。
これを実施しようと思うと、当然店の希望=モデルシフトがないと成り立ちません。

手順は以下の通りです。

  1. 店の希望シフトをスタッフに伝える
  2. スタッフの承諾を得る
  3. 承諾を得られなかった場合は、他のスタッフに依頼する

このサイクルがうまく定着すると、スタッフは店の希望に合わせて、プライベートのスケジュールを組むようになります。
ひいてはシフト管理がやりやすく、人件費のコントロールもしやすくなります。

シフト作成研修の受講者の声

  • 人件費をコントロールするという考え方は新鮮でした。
  • 今まで経験と勘でやってきましたが、これからはモデルシフトの考え方をベースにしていきたいです。
  • スタッフの希望を聞いて、一日ずつシフトを作っていました。今回の研修でシフトをパターン化してみると面白いように型にはまりました。シフト作成の時短化にもつながりそうです。
  • 人件費をコントロールするということは、スタッフのスケジュールもコントロールすることにつながりそうです。

まとめ

今回、モデルシフトを使ったシフト管理の方法をお伝えしました。

ポイントを改めてお伝えします。

  • 予算の適正化と予算を根拠に、シフトを作成すること
  • 教育時間もシフトに盛り込むこと
  • 営業可能な一日の最低総労働時間を把握すること
  • 店舗のシフト希望が優先される環境にしていくこと

最初は時間がかかるかもしれませんが、この手法が仕組化し、シフトをパターン化できれば、シフト作成にかかる時間も大幅に軽減できます。また、不足している曜日・時間・ポジションも明確になりますので、よりターゲットを絞った求人を掛けることができ、採用力の強化にもつながります。

この方法を定着させるためにも、

  • 会議資料などに人時売上高の項目を設ける。
  • 社内キーワードとして、「人時売上高」という言葉を意識して使う。

まずは店長に「人時売上高」に触れる機会、意識させる機会を作りましょう。

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